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HATTORI食育クラブ 食育通信No.14

対談

日本の未来のために、 トランス脂肪酸の表示を食育を提唱する服部幸應氏と、天然素材を活かしてコレステロール・フリー とトランスファット・
フリーを実現したオイルスプレッドを製造・販売している株式会社ボレイ 取締役会長 野須正一氏が「食とオリーブオイル」について語ります。

野須 正一
株式会社ボレイ 取締役会長
(写真右)

服部 幸應
服部栄養専門学校 校長/医学博士(写真右)
服部
今年から、アメリカではトランス脂肪酸(トランスファット)を含有しているものは全部、規制に入りましたね。トランス脂肪酸含有量の表示を義務づけられていて、トランスファットフリーなどと書かれています。
野須
北米ではカナダ、ヨーロッパ各国、韓国、スイスも同様です。ニューヨークでは一般のレストランに対して、トランス脂肪酸を使ってはいけない、使ったら罰金に課すことになりました。
服部
トランス脂肪酸は、悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らします。心筋梗塞や脳梗塞など血管に非常にダメージを与える脂肪酸ですから、極力避けなくてはいけません。
野須
一般的に市販されている植物油の多くは、植物の種から工業的に油を搾ります。 原材料にヘキサンという化学溶剤を入れ、熱処理をすることで効率的に大量の油が精製されますが、抽出された油には「トランス脂肪酸」が多量に発生してしまうのです。植物油だから体に良い油だと、だれもが思っています。ところが実は体にとっても悪いものだったのです。お菓子やケーキなどにも、ほとんどといってよいほど、トランス脂肪酸が含まれていますが、日本ではあまり問題にされていませんね。
服部
我々大人はお菓子をあまり食べませんが、現代の子どもたちはみんな欧米並にお菓子やケーキを食べていますね。
野須
そういったものは食べてすぐに結果が出ません。20年後、30年後になってやっと問題になるのです。おそろしいことです。
服部
お菓子がサクッとした食感を出したり、ケーキの生地をふわっとさせるために使うショートニングが問題なのですが…。
野須
マーガリンやショートニングは、凝固化させるために、水素を添加することで、融解点をコントロールしています。もともとトランス脂肪酸を含んでいるうえに、水素添加で良くない食品になってしまうのです。
服部
油を全く摂らないと、胃腸障害や便秘にもなりますから、油はほどほどに摂ることが理想ですが、摂るからには良い油を摂りたいですよね。
野須
トランス脂肪酸が発生する精製法では、油は自然のままの栄養組成が壊れてしまいますし、体内に蓄積されてしまうのです。そして太ってしまう。しかしオリーブオイルの場合は、善玉コレステロールを減らすこともなく、抗酸化力も強く、体内で生体反応を活性化させる多くの有効成分に富んでいます。
服部
そうですね。油は酸化がしやすいですが、酸化したものは食べてほしくないですね。おいしくないというより、体に悪いのです。
野須
弊社のイーガーオリーブオイル・スプレッドは、トランス脂肪酸が含んでいないことはもちろん、水素添加や飽和脂肪酸を使わず、自然のエキスをそのまま凝固化しています。水分と空気を排除して流動性を抑えているので、酸化しにくいのです。
服部
ペースト状になっているから、パンなどに塗って使うばかりではなく、いろいろな調理の可能性を広げますね。さらに多くの方に知ってもらいたいです。
野須
そうですね。人間の脳を構成する物質の60%、神経細胞の70%は脂質でできています。その脂質が間違った油ではどうなるのでしょうか…。3歳までは脳の大切な発育期ですので、子どもたちには、特によい油を摂ってほしいです。
服部
まず、日本でもトランス脂肪酸の表示の義務づけをしたいですね。「選食能力を高めよう」という提唱は、食育の3本柱の1つでもありますが、どのような食べ物が安全か、危険かということを知る必要があります。消費者が表示を見て、選べるようにすることが大切です。

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