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HATTORI食育クラブ 食育通信No.12

対談

素材のうまみを引き立たせる料理のパートナー食育を提唱する服部幸應氏と、現在我が国最古製油会社として歴史と伝統を誇り、最高の味と品質を保ち続けている竹本油脂株式会社常務執行役員取締役 竹本信二郎氏が
「食と胡麻油」について語ります。

竹本 信二郎
竹本油脂株式会社
常務執行役員取締役
(写真右)

服部 幸應
服部栄養専門学校 校長/医学博士(写真右)
服部
胡麻は伝統ある食材ですが、御社の胡麻油はいつ頃から始められたのですか?
竹本
そもそも胡麻は紀元前3000年くらいから食べていたという歴史のある食品です。弊社は享保10年、1725年に創業しました。昨年は創業280年と記念の年で、私の兄が11代目になります。創業当初は菜種などから搾油していましたが、大正初期より胡麻油の製造を開始しました。
服部
私は、よく天ぷらを食べにいきますが、料理の本を見ましてもよく言われるのが、天ぷらは180度で揚げるといいと皆さん言いますね。しかし私の知っている名人は、180度を超えています。200〜210度まで温度を上げるものもあります。昔はそうではなかったのに、どうしてなのでしょうか。
竹本
油の精製度が非常によくなってきたからです。
服部
そうですね。以前は200度くらいで煙が出ていたものが、不純物をきれいに取り除くことをしているから、240度くらいまで温度を上げることができるわけです。
竹本
これを知った上で揚げている人と、意識しないで、昔から180度と思い込んで揚げている人とではやはり味が違いますね。
服部
魚介類は180度、野菜は160度で揚げるのが一般通念だったのですが、ところが今では220度まで揚げられるので、60度の幅で揚げるのと、昔の20度の幅で揚げるのではできあがるものの味が違う。それを分かっている人は名人ですね。美味しいと思うのは180度を打破して作れるようになった人ですね。精製度が高くなったという時期はいつぐらいからでしょうか?
竹本
40年くらい前でしょうね。これは濾過や精製技術の向上に拠るところが大きいと思います。
服部
製造の上でのこだわりは何ですか?
竹本
胡麻は油分が50%以上と非常に高いのですが、殻が硬いこともあって、絞るのはなかなか難しい作物です。弊社の特徴とこだわりは「圧搾」、いわゆるつぶすだけで絞ることです。
服部
まさにエクストラバージンですね。
竹本
最後の最後まで油を取り出すには石油系溶剤による抽出という方法もあり、一般的には良く行われ、収率が上がるため直ちに儲けに繋がります。しかし、当社では一切行いません。素材から出る味、含まれている天然由来の添加物が失われた、旨みや栄養の無い油になってしまうからです。
服部
体に良い成分は残してあるのですね。良いものを良いとわかる人、本質的にすばらしいと理解する人を増やしていこう。食育クラブとはまさにそのクラブ。我々消費者にとって、安心、安全、健康なものを作ってほしい。生産者のお立場である御社はきちんとなさっていますね。いい加減なもので作っていると、消費者もいろいろ勉強してきているので選ばなくなっている。だから御社はさらに良い結果が出てくると思います。
竹本
やはり、私たちのこだわりは、自然のままの成分でいこうと言う「圧搾」の部分。それに加えて「太白」という名前の生搾りの胡麻油も自慢の商品なのです。胡麻の焙煎香はしないのですが、うま味は十分あるので、イタリア料理のシェフやパティシエの方に、バターの代わりに使用していただいています。ニンジンやピーマンなど、子供があまり好きではない食べものも太白を使って調理すると、野菜が甘く、うまみが引き立ちます。おいしく食べられ、好き嫌いも補えるのです。
服部
食材が持っているおいしさがそのまま出るのでしょうね。
竹本
和洋中問わずに使っていただける、おいしい油です。
服部
胡麻油を作っていくプロセスにもすばらしい志があります。11代280年続いている伝統のある会社、これからも30代、50代それこそ100代まで続くように頑張ってほしいと思います。

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