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HATTORI食育クラブ 食育通信No.21

対談

加齢とともに起こる体重増は生理的なもの

高橋 迪雄
味の素株式会社 顧問
(写真左)

服部 幸應
服部栄養専門学校 校長/医学博士
(写真右)
人類は600万年の歴史のほとんど、狩猟・採取生活で肉食をしていました。そして今から約1万年前に農業が導入され、肉食動物から草食動物へ変わっていったのです。穀物、植物がタンパク質栄養としても重要な地位を占めましたが、肉食に比べて必須アミノ酸のバランスがとりにくいものでした。ですから足りない必須アミノ酸に加えて、ビタミンやミネラル等の微量栄養素を確保するためには、常に過食が必要で、過食こそが健康の証でした。そしてこの時代の人類は、栄養素の欠乏を防ぐための過食で生じた余剰エネルギーは、農耕に伴う過酷な労働で放散させることができました。ネズミを例にあげると、過食で生じた余剰エネルギーの放散のために、夜間に6│10キロも走っています。この本能行動を起きなくすると、極端に太ってしまいます。現代人では、ここまで激しい労働や、運動をする機会が失われています。だから走らないネズミと同じで、太るのはある意味で当然と考えられます。

●加齢とともに起こる体重増は生理的なもの
人間は、加齢とともに食物獲得能力が低下するので、飢餓に備えて脂肪を蓄えることは適応です。ですからこれは生理的で、自然な肥満なのです。20歳を過ぎた頃から、1日の基礎代謝量が着実に減り始めます。それに見合って食べる量が減れば、太りも痩せもしません。しかし、私たちは食欲の低下が微妙に遅れるというメカニズムを持っていると考えられます。例えば、50歳なのに、45歳のつもりで食べていると、1年後男性は1.5キロ、女性は0.9キロ程蓄積した脂肪によって太るのです。現代の人間は、過去の人類の歴史にはなかった長寿命を生きています。マイルドな生理的な体重増でも、長年それを積み上げますから、健康な人が20│30年かけて20│30キロ太るのは、実は「食べ過ぎている」という考えでは解決しないのです。また、アメリカの8万人の女性を対象にした最近の調査では、7│8時間の睡眠をとっている人のBMIが一番低いという結果が出ました。短い睡眠時間しかとれない人はどちらかというと太りやすいのです。

●すぐに変化の出る体重減の落とし穴
炭水化物はグリコーゲンとして、筋肉や肝臓に貯蔵され、3倍量の水と一緒に貯えられます。 一方、脂肪は水に溶けないので、細胞の中にそのまま貯蔵されます。その結果体重 1キロあたり、グリコーゲンは約1,000、脂肪は8,000キロカロリーを貯蔵している計 算になります。ダイエットの初期にはグリコーゲンが消費されるので、順調に体重 が減ります。しかし、貯蔵されたグリコーゲンはすぐになくなるので、次は脂肪 を燃やさないといけないのですが、同じカロリーを減らしても、8分の1のス ピードでしか体重は落ちなくなります。この時にあきらめてしまわないことが大切ですね。一方、食べ物を減らしたときは、体重を減らさないで元の体重を維持しようとする生理的 な機能が働き出します。空腹感、脱力感などに導かれて、代謝活性の低下が引き起 されます。このような状態で、食事量を元に戻すと、代謝量が減っているために強いリバ ウンドが起きることがあります。

●ダイエットによる不都合を緩和するカプシエイト
代謝活性を下げない最良の方法は十分な運動することですが、皆が可能というわけにはいきません。運動以外にエネルギー放出をうながす方策として、 唐辛子の辛味成分のカプサイシンが、基礎代謝を上げ、脂肪を減少させることがわかっていますが、強い辛味のために多くの人は十分量を食べられません。私たちは、カプサイシンと同様な働きをする新規成分の「カプシエイト」が、新品種の「辛くない唐辛子」に含まれていることに着目しました。これであれば、辛味が1,000分の1しかないことから、多くの人がダイエットをするときなどに、有効に活用できると考えています。

※必須アミノ酸とは?
動物の成長や生命維持に必要であるが、体内で合成されないため、食物から摂取しなければならないアミノ酸。メタボ対策にはみなさん悩まされているのではないでしょうか。食べる量を4割減らすとマウスは1.8倍、サルは1.4倍寿命が延びたという実験もありますが、無理もいけません。自分に合った方法を試してみると良いでしょう。高橋先生からご教授いただきながら、食育クラブからも情報を発信していきたいと思います。

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