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HATTORI食育クラブ 食育通信No.48

対談

平戸市の”うまいもの”

長崎県平戸市 市長
黒田 成彦

服部栄養専門学校 校長/医学博士
服部 幸應

スープまで飲み干したい平戸あごだしちゃんこ鍋

市長
こんにちは、校長先生。ご無沙汰しております。
服部
やあ、いらっしゃい。久しぶりですね。平戸の方はいかがですか?
市長
先日も「平戸新あご祭り」を開催したのですが、市民はもちろん、近隣の皆さんや、遠くは熊本や宮崎辺りからも来ていただきました。
服部
平戸の「あご」の魅力が広く伝わっているのでしょうね。
市長
はい、お陰さまで。本当にありがたいですね。校長先生に監修していただいた「平戸あごだしちゃんこ鍋」は大変好評です。
服部
あごだしのすっきりとしながらコクのあるおいしさを、最大限に活かせていると思います。
市長
本当においしくて、麺などを入れる間もなくスープまで飲み干してしまうほどです。より多くの方に味わっていただけるよう、今年の年末は「平戸あごだしちゃんこ鍋」をはじめとするいろいろな鍋料理が味わえる「平戸鍋ざんまい喰らいMAX」というイベントを開催します。今年は、校長先生にも平戸に来ていただくことになっておりますので、同時に食育のイベントも色々と計画しております。
服部
そうですか。楽しみだなぁ。
市長
「平戸あごだしちゃんこ鍋」は冷凍のギフトセットとして、福岡の百貨店さんなどでも販売されて、これがまた大変好評です。やはり、平戸特産のあごだしにこだわったところが受けているのだと思います。平戸あごだしちゃんこ鍋のスープだけ欲しいという声も強くあるようですから、次はレトルトのスープを開発しようか?なんて計画も持ち上がっています。その時には、また校長先生にご監修をいただきたいと思います。
服部
はい、いつでもどうぞ。喜んでお引き受けいたしましょう。

「限界」から「限定」へ 旬を活かす平戸ブランド

市長
平戸市では、平成20年10月に「平戸市地域資源ブランド化推進協議会」を立ち上げ、食のブランド化、地域資源のブランド化を進めてきました。ちょうど5年前ですが、当時はブランド定義の一つとして常に一定量の供給が求められていました。でも平戸には優れた食材が豊富にありながら、単体で見ると、少量点在型のためブランドの定義に当てはめると、実態が希薄で発信力が弱いというところがあったのです。また大消費地の小売店さんや飲食店さんでは、品切れを嫌うため、既存の流通ルートに乗れない少量生産者は、なかなか扱っていただけないと言う限界を感じていました。
服部
なるほど。
市長
そこで、意識の転換を行い、売り込み方法を大幅に変える試みをしたのです。供給量には限度があり、一年中同じ物をお届けするわけにはいかないことをご理解いただきました。その代わりに、旬のものを旬の時期にお届けしますよ、と宣言しました。季節ごとに主役の食材は交代するけれど、平戸が誇る豊富な旬の味を、一年中途切れることなくお届けします。という方向に大きく転換を図ったのです。物量的な「限界」を「限定」という言葉に置き換えることで、地域特産という付加価値を高める努力をお約束し、食材をお使いいただく際にも、料理名のどこかに「平戸のなになに」と入れていただくようにお願いしています。
服部
面白い発想ですね。成果は上がっているのですか?
市長
具体的には、産直市場における平戸コーナーの設置や有名百貨店での物産展、ホテルやレストランでの平戸フェアの開催など、着実に「平戸の食材」と言うブランド化が進んできています。今年の夏は、食育クラブさんのご紹介で、都内の会員ホテルさんがランチに平戸食材をクローズアップしたメニューを提供してくださいました。売れ行きが好調だったと聞いて、喜んでいるところです。
服部
それは良かった。
市長
服部学園の学園祭でも、平戸の産品を紹介する機会を作っていただく予定です。
服部
そうですか、来場者の皆さんに強くアピールしてください。

平戸市ならではの食育

服部
いまから26年ほど前に、「食育」という考え方を提案した時に、私の中には大きな危機感がありました。人にとって最も大切な「食」が余りに軽んじられている、と言う思いです。それから、本当に様々なことを勉強し、ことあるごとに「食育」の必要性を説いて回りました。その結果、2005年に「食育基本法」が成立しました。それから8年が経ちましたが、食育という考え方は広く皆さんの中に根付いたと思っています。その一方で、日常生活の中で親から子に、子から孫に物事を伝えて行く場として、食卓を共にする家庭環境が成立しにくくなっているのですね。
市長
平戸は東京に比べれば、まだ家族制度が緻密です。一次産業、いわゆる農林水産を家業とし、それを積極的に継いで行こうと言う若い生産者が育っています。また平戸市では修学旅行生を受け入れているのですが、大阪の高校生が漁師になると決め、現在は平戸に住んで人気者となり、盛り上げてくれていますよ。
服部
そうですか。農林水産は今こそ大事ですから、心強いですね。現在、TPPへの参加が決まり食品業界は正念場。食はもちろんお金もエネルギーも地産地消を目指そうという流れがあります。地域が良い循環をすることで、日本全体が良くなると考えています。平戸市の取り組みは本当にすばらしい。
市長
地域と食、そこに住む生活、生産活動する感動を共有し発信していきたいと考えています。そして、自然からもたらされる恵みに感謝ですね。
服部
平戸市の自然は本当に豊かですね。海老や貝など海の幸は独特です。
市長
ええ、カブトガニの子供みたいなウチワエビはおいしいですよ。毎日見ているから気づきませんが、お客様には美しい海だと褒めていただいています。かごあみ、さしあみ、ごちあみ、一本釣り、たこつぼと網が縦横無尽に張りめぐらされ、元気のある漁場がたくさんあります。山も手つかずで人工林が少なく、森が深いのです。
服部
その土地ならではの良さですね。
市長
行政も、生産者も、流通も消費者も、平戸の産品に誇りを持ち、地場の食材を多用する生活が昔から当たり前とされてきたのです。30年後の子供たちが、「平戸に生まれて良かった」と自信を持って言える町にして行くのが、市長である私の使命であり、市民みんなの仕事であると思います。そのためにはやはり「食育」がしっかりと根付くことが大事だと考えています。
服部
これからも一緒にがんばりましょう。今日はありがとうございました。

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