千切りのしいたけ、だいこん、たまねぎ、にんじん。
海水塩を軽くふった鍋に底から順序良く重ね、そっと周りから水をひたひたになるまで注ぎ、海水塩を再びふってふたをし、弱火でコトコト煮る。
きのこや海藻、野菜を重ね、食材の持つ特性を調和させるマクロビオティックの調理法のひとつである、陰陽調理です。おいしさが最大限に引き出され、普通に煮るよりも深みの増すもので、夏ならトマト、なす、ズッキーニなどを使い、季節ごとにおいしく作ることができます。マクロビオティックは中国の陰陽論や日本の伝統食が生み出し、欧米で広く実践されたもので、世界をめぐりながら古く新しい風を呼んでいます。
昔から世界中で文化交流は行われ、伝えられたものにその土地の特性が加えられ、独自に進化し、また伝わっていくことを繰り返しています。
たとえばケチャップ。かつてケチャップはトマトに限らず、ソース全般を指す言葉であり、魚醤などもふくめてケチャップと呼んでいたようです。ケチャップの語源は諸説ありますが、中国が発祥とも言われ、アジアと関係が深いようです。17世紀にイギリスに伝わると、果実や魚介類を中心にケチャップが作られ、18世紀にはきのこケチャップが主流に。現在でも、イギリスでケチャップと言えばマッシュルームで作られたものを指すそうです。アメリカに渡るとトマトで作られるようになり、真っ赤なトマトケチャップが定着しました。
昨年11月、スペインにて料理学会のサンセバスチャン・ガストロノミカが行われ、世界の料理の新しい融合を目指す技術と志を発信する場となりました。日本からもシェフ達や服部幸應が招かれ、学会発表をしています。服部は世界的にブームになっている寿司や刺身の基本に、きちんと確立された衛生管理という安全があることなど、日本料理の本質的な部分を伝えました。
陰陽調理は食材の特徴をとらえ、ケチャップはベースになるトマトやマッシュルームのおいしさを大事に作られます。世界の食の交流の中で、さまざまな文化スパイスが加えられても、本質的な部分を大事にすれば、多様においしくなるでしょう。
トマトの赤い色素である「リコピン」には、様々な生活習慣病の原因となる活性酸素を消去するはたらき=「抗酸化作用」があります。世界各地でリコピンに関する研究が行われ、その効能を確認しています。
また、リコピンは、生活習慣病の予防だけでなく、美白・美肌にも有効なことが明らかになっています。リコピンは、シミやソバカスなどの原因となる、紫外線によって生じるメラニンの生成を促進する活性酸素を消去するとともに、メラニンの生成に必要な酵素「チロシナーゼ」の働きを抑えます。その結果、美白につながるのです。
トマトやトマト加工品を生活にとりいれて、おいしく健康に過ごしましょう。