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HATTORI食育クラブ 服部幸應コラムNo.39

水が記憶する

水が記憶する、という説があります。
ノーベル賞に2度ノミネートされたことのあるジャック・ベンベニスト博士が、免疫に関する論文をネイチャーに発表し、「水は以前そこに溶けていたものを覚えている」という文を添えました。
これは「水の記憶事件」ともいわれる論争を巻き起こし、後日再試が行われ、一応の結論は、「ペンベニスト博士の実験結果は再現できない」とされているようです。

ただ、水の記憶の存在を示唆するものもあります。
代替医療として浸透しつつあるホメオパシーです。何倍にも水で成分を希釈した薬(レメディ)を使い、ほとんど有効成分が残っていないものを服用して、症状を改善する医療です。科学的論拠が足りないと認められていない場合もありますが、効果を上げていることもまた事実です。

現在、日本でも西洋医学以外の医療を取り入れる「統合医療」「ホリスティック医療」が浸透しつつあります。
ホメオパシー、漢方、鍼、アーユルヴェーダ、アロマセラピーなどさまざまな理論がありますが、個々の症状を重視し、心身のバランスをとって自然治癒力を高め、予防や健康維持にも長けていることが共通しています。対症療法に長けた西洋医学と統合することが理想です。

ホリスティック医療では、食事療法もやはり欠かせません。
マクロビオティック、断食、ゲルマン療法、幕の内式などさまざまな理論がありますが、共通することは有機栽培、自然栽培を重視することです。ホリスティック医療の思想は食、農、精神性、生命観、幸福感などをはらみ、地球全体のサスティナビリティにもつながるものです。

水がもし記憶していたら、一般農法の野菜や畑の土は、どんなに農薬を洗い流しても、記憶をとどめているかもしれません。また、自然に育つ野菜は何を覚えているでしょうか。
記憶に限らず、連綿と続く命をいただいて、私たちは生きています。
私たちには、科学ではまだ解明されていないものを想定する必要があるかもしれません。

本質的に良い食べ物を

食べ物は我々人間にとって欠かすことのできない重要なものです。
しかし、世界の食料需給が中長期的にいきづまる可能性もあると見込まれる中で、日本の食料自給率はいまだに低く、現在、食料の約6割を海外に頼っている状況です。

食育がすすめられる中で、少しずつ国民の意識や価値観にも変化が見られ始めています。
農業への関心が高まっており、自家農園を作り、無農薬で安全、安心な食材を作る方たちも増え、本質的な良い食べものの理解が深められてきています。
消費者が何が安全で安心なものかを知り、選択すること。また農業者がそういった食品を供給すること。その関係性は大事なものです。

国民一人ひとりが、日本の食を変えてゆけます。

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