寒さの中に、春のきざしが感じられるようになりました。
生物たちが動き始めるころです。まもなく雨水となりますが、農耕の準備は雨水を目安にされてきました。
現在、空前の農業ブームのようです。家庭菜園やレンタル農場はもちろん、渋谷の女の子が奇抜なかっこうで田植えや収穫をする「ノギャル」が去年から注目されています。
藤田さんという女性が火つけ役で、にぎわっていた祖父の畑を耕す人がいなくなった寂しさのなか、同じように放置された農地のことを知り、日本の食料自給率アップに賛同して行動を始めたそうです。
また、都市部ではビル菜園がつくられ、農業の雑誌も人気です。
食品会社だけでなく、一般企業もどんどん農業に参入しています。農地を借りてプライベートブランドをつくったり、グループ内で生産、販売し、売れ残りを畑に還元する循環型農業を実現しています。
一般企業や個人が農地を借りやすくする「農地法改正」が一役買ってい ます。農業人口を増やし、放棄された農地を解消することが期待されています。
一方世界では、食料確保のための「農地の囲い込み」が進んでいます。先進国がアフリカ、東南アジアなどの農地を長期リースし、生産力を確保しようと動いているのです。
食糧をはじめ人の生活がどれほど地球にたよっているかを表す「エコロジカル・フットプリント」は、日本人1人当たり4.3gha(グローバルヘクタール)。
一方、国土面積から割り出した日本人1人当たりのキャパシティは、0.9gha。現在私たちの生活は、日本の生産力の4.8倍となり、純粋に日本の国土で養えるのは、人口の21%。これを続けていると、日本人が生きて行くには地球が2.4個必要です。
農業ブームが、食と農の関係を理解し、行動する人が増えるきっかけになればと思います。